【ぎっくり腰】靴下を履こうとしただけでぎっくり腰…腰が曲がったまま伸びない

朝の着替え時に靴下を履こうとして急激な腰痛を発症し、腰部が前屈したまま伸展できなくなった男性（30代/会社員）の改善事例をご紹介します。

主訴（来院時の症状）

患者は来院時、以下の症状を主に訴えていた。

腰部の激しい痛み（特に右側腰部）
腰部前屈位での固定（伸展不可能）
歩行時の痛みによる跛行
起立・着座動作の困難
前日の朝から続く持続的な疼痛

来院に至るまでの経緯

前日の朝、いつものように着替えをしようと左足を上げて靴下を履こうとした際、腰部右側に激痛が走った。その瞬間的に腰が曲がったまま伸ばせなくなり、その場にうずくまってしまった。家族の支援を得てなんとか立ち上がったものの、腰部は前屈したまま固定され、わずかに伸ばそうとするだけで激痛が走る状態であった。歩行も困難で、小刻みな歩幅でしか移動できなかった。

これまでにぎっくり腰の経験はなく、特別な前兆もなかった。前日は通常通り仕事をしており、重いものを持ったり無理な姿勢を取ったりした覚えもない。安静にしていれば改善するかと一日様子を見たが、症状に改善が見られず、むしろ筋肉の緊張が強くなってきた。

家族からの紹介で当院を知り、翌朝一番に電話予約をして来院された。

検査と所見

初回検査結果は以下の通り

腰椎前屈制限（正常範囲の約20％）
腰椎伸展制限（ほぼ不可能）
腰椎側屈制限（両側とも著明）
起立筋群の著明な筋スパズム
骨盤の右下方変位
右仙腸関節の可動性制限
下肢への放散痛なし

検査結果から急性腰痛症（いわゆるぎっくり腰）と診断。L4-L5レベルを中心とした腰椎周囲筋群の急激な収縮により、腰椎の可動域が著しく制限されている状態であった。特に起立筋群、腰方形筋、腸腰筋の過緊張が顕著で、これらの筋肉が保護収縮を起こし腰部を前屈位で固定していると判断した。

施術内容と経過

初回は患者が最も楽な体位（側臥位）で、過緊張を起こしている腰部周囲筋群に対して極めて軽い手技を実施。まず起立筋群の表層から徐々に深層筋まで、段階的に筋緊張の緩和を図った。

2回目以降は症状の改善に応じて、腰椎の関節可動域改善と骨盤アライメントの調整を段階的に導入。特に右仙腸関節の可動性改善に重点を置き、骨盤の歪みを整えることで腰椎への負担軽減を図る。

痛みの軽減とともに日常動作での注意点を指導。急性期の過ごし方、起き上がり方、歩行時の注意点について具体的にアドバイスした。症状が安定してからは、再発防止のための腰部周囲筋の柔軟性向上を目的としたストレッチも指導。

急性腰痛の症状は以下のように経過した。

初回~3回/3日連続の通院: 初回施術直後から筋緊張がやや緩和し、わずかながら腰を伸ばせるようになった。3回目終了時には前屈位からの起立が可能となり、歩行も改善した。
4~7回/週2~3回の通院: 5回目終了時には腰椎の伸展が50%程度まで回復。日常生活での基本動作が支障なく行えるようになった。
8~10回/週1回の通院: 10回目終了時には可動域制限がほぼ解消。靴下を履く動作も問題なく行えるようになった。
11回~/2~3週間に1回の通院: 症状はほぼ完全に改善。職場復帰も果たし通常業務に支障なく取り組めるようになった。