【首の痛み】デスクワークによる首の痛みと可動域制限で集中力が低下

長時間のデスクワークによる首の痛みと可動域制限、寝違えで来院された男性（30代/事務職）の改善事例をご紹介します。

主訴（来院時の症状）

患者は来院時、以下の症状を主に訴えていた。

頚部から肩にかけての重だるい痛み
頚部の可動域制限（特に回旋と後屈）
夕方以降の頚部痛の増強
週に1~2回の寝違え症状
頭痛の頻発（後頭部を中心とした緊張型頭痛）
仕事への集中力低下

来院に至るまでの経緯

在宅ワークが中心となり、1日8～10時間のパソコン作業を継続。当初は軽い肩こり程度であったが、徐々に首の痛みと動きの制限が顕著になった。特に夕方以降は首を動かすたびに痛みが走り、振り返る動作も困難な状態となった。1ヶ月前頃から寝違えの頻度が増加し、週に1~2回は朝起きた時に首が動かせない状態が続いた。また、後頭部を中心とした頭痛も多く発生するようになり仕事の効率が著しく低下した。

近所の整形外科を受診しレントゲン検査を実施。骨に異常は認められず、頸肩腕症候群との診断で湿布と筋弛緩剤を処方されたが症状の改善は見られなかった。

同じような症状で悩んでいた同僚から当院を紹介され、LINE予約のうえ来院された。

検査と所見

初回検査結果は以下の通り

頚部屈曲制限（正常45度→30度）
頚部回旋制限（左右共に正常60度→右35度、左40度）
頚部後屈制限（正常50度→20度）
上位頚椎の可動性低下
頚部深部屈筋群の筋力低下
僧帽筋上部線維の過緊張
胸鎖乳突筋の短縮と圧痛
前方頭位姿勢
巻き肩姿勢

検査結果の分析により、長期間の不良姿勢による頚椎のアライメント異常と頚部周囲筋の筋バランス不良が主因と判断。特に前方頭位姿勢により上部頚椎の過伸展と下部頚椎の屈曲が生じ、後頭下筋群と僧帽筋上部線維の過緊張、深部屈筋群の筋力低下が認められた。また、長時間の同一姿勢により胸郭の可動性も低下しており、これが首の痛みを増悪させる要因となっていると考えられた。

施術内容と経過

頚椎のアライメント改善と頚部周囲筋の筋バランス正常化を目的とした施術を実施。上部頚椎の可動性改善を中心に、後頭骨と第1頚椎、第1頚椎と第2頚椎間の関節可動域の改善を図った。併せて、過緊張状態にある後頭下筋群、僧帽筋上部線維、胸鎖乳突筋の緊張緩和を重点的に行った。

また、弱化している頚部深部屈筋群の活性化を目的として、段階的な筋力強化指導を実施。胸郭の可動性改善のため、胸椎の伸展可動域改善と大胸筋、小胸筋のストレッチングも併用した。

日常生活では、デスクワーク時の姿勢指導を重点的に行った。モニターの高さ調整、椅子の座り方、キーボードとマウスの位置について具体的なアドバイスを実施。症状の軽減後は、自宅でのセルフケアとして、頚部のストレッチングと深部屈筋群の筋力強化エクササイズを指導した。

首の痛みは以下のように経過した。

初回～6回/週2回の通院: 初回施術後、首の重だるさがやや軽減。4回目終了時には寝違えの頻度が週1回程度まで減少し、頭痛の発生も半減した。
7~12回/週1回の通院: 8回目終了時には、首の可動域が約70%まで改善。夕方の痛みも軽減し、振り返り動作が楽になった。デスクワーク中の首の疲労感も大幅に軽減した。
13~18回/2週間に1回の通院: 15回目終了時には、首の可動域が正常範囲の90%まで回復。寝違えの頻度も月1回程度まで減少し、頭痛もほぼ消失した。
19回~/月に1回の通院: 良好な状態を維持。患者自身も定期的なストレッチとエクササイズを継続し、デスクワーク環境の改善にも積極的に取り組んでいる。現在は予防的なメンテナンスを継続中。